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人工関節センター【股関節センター】

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股関節センターからのお知らせ

2025.09.08 2025年6月に、股関節センターを開設いたしました NEW

当科の特徴

股関節センターは、整形外科の中でも主に股関節の治療に特化したセンターです。人工股関節置換術を中心に高度な医療をご提供します。

▲ 医員 石井 齊宜

医師紹介

整形外科

医員

石井 齊宜

Ishii Nariyoshi

入職
2025年
主な専門分野
股関節、整形外科一般
認定資格・所属等Qualification / Affiliation
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 日本整形外科学会スポーツ医・運動器リハビリテーション医・リウマチ医

上記以外の所属学会

  • 日本股関節学会
  • 日本人工関節学会
経歴History
2014年 慶應義塾大学医学部 卒業
2014年 足利赤十字病院 初期臨床研修医
2016年 慶應義塾大学医学部整形外科学教室 助教
2017年 平塚市民病院 整形外科
2018年 北里研究所病院 整形外科
2019年 足利赤十字病院 整形外科
2021年 静岡市立清水病院 整形外科
2023年 慶應義塾大学医学部整形外科学教室 助教
2023年 北里研究所病院 整形外科

メッセージMessage

股関節の診療を中心に行っております。
手術はもちろん、手術をしない保存療法も含め、1人ひとりの症状や生活に合わせた最善の方法を提供できるよう努めております。
お困りのことがあれば気軽にご相談いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

注力疾患解説

変形性股関節症

様々な原因により股関節の軟骨がすり減り、骨が傷み変形を来している状態です。原疾患が明らかではないものと、下記の疾患などが原疾患となっているものがあります。

症状は、痛みと機能障害です。動き出しや歩行時の脚の付け根の痛みを感じ、関節症が進行すると痛みが強くなったり、常に痛むようになったりします。股関節が悪いせいで、膝や腰が痛くなることもあります。
また、日常生活において靴下が履きにくい、爪が切りにくいなどの症状を来すことがあります。

診断は、レントゲンなどの写真を撮って確定します。必要に応じてCT、MRIなどの検査を追加します。
ごく初めは関節がわずかに変形しているだけですが、関節症が進むと、関節の隙間が狭くなったり(軟骨の厚さが薄くなる)、軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)します。
さらに進むと、関節の中や周囲に骨棘(こっきょく)とよばれる異常な骨組織が形成されたり、骨嚢胞(こつのうほう)と呼ばれる骨の空洞ができたりします。

治療は、まずは痛み止めや炎症止めなどの薬物療法や運動療法を行います。
動かなくなると筋肉が衰えてしまいますので、無理のない範囲で運動を行い徐々に強度を高めていきます。水中歩行や水泳も効果的です。過体重の場合は減量も推奨されます。
これらの保存療法でも症状が取れない場合は、手術療法を考えます。手術は、初期のうちでしたら自分の骨を残して行う骨切り術の適応で、変形が進んでいる場合は人工股関節手術の適応になります。
当院では、より体に侵襲の少ない筋肉や腱を切らずに行う人工股関節置換術を行っております。

大腿骨頭壊死

MRI検査

大腿骨の骨頭と呼ばれる部位が壊死してしまう疾患です。ステロイド性、アルコール性、その他とくに原因なし、など様々な原因で生じます。変形性股関節症へ発展することもあります。
治療は、痛みなどの症状が強ければ手術を検討します。壊死範囲によっては骨頭の向きを変えて壊死部に体重がかからないようにする回転骨切り術を施行し、それが困難な場合では人工股関節置換術を選択します。

寛骨臼形成不全

日本人に多く、中でも女性に多い疾患で、大腿骨頭に被っている寛骨臼と呼ばれる屋根の部分が浅くなってしまっている疾患です。変形性股関節症へ発展することもあります。

治療は、変形性股関節症に準じて、まずは保存療法を行います。保存療法で症状が取れない場合は手術を検討します。

股関節唇損傷

股関節唇とは、股関節の骨盤側(寛骨臼)の縁にあり、股関節の安定性に寄与する組織です。もともとの骨形態の異常や、股関節を深く曲げる動作で関節唇と大腿骨の頚部が衝突することにより関節唇が損傷され、股関節屈曲時の痛みや屈伸時の引っかかり感を呈することもあります。
治療は、まずは鎮痛薬等を使用しつつ、深く屈曲するなどの痛みを誘発する肢位や運動を避け、保存療法を行います。保存療法で症状が残る場合は、年齢によって股関節鏡にて股関節唇の断裂部の縫合や切除を行い原因となっている骨変形の切除等を行ったり、人工股関節置換術を行ったりします。

大腿骨近位部骨折

高齢者の転倒や、若年者でも高エネルギー外傷で発症することがあります。
疼痛も強く歩行も困難になり、早期の手術を予定します。高齢者においては受傷後早期に手術を施行することで、術後の経過や生命予後にまで影響すると言われています。当院ではできる限り受傷後48時間以内に手術を行っております。

▲大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術(画像提供:日本ストライカー株式会社)

▲大腿骨転子部骨折に対する骨折観血的手術(画像提供:日本ストライカー株式会社)

当センターでの人工股関節置換術 MIS について

MIS(Minimally Invasive Surgery)は、日本語に訳すと「最小侵襲手術」になります。皮膚の傷をなるべく小さくし、筋肉・腱・靱帯も必要最小限の侵襲を与えるだけで行う人工股関節置換術で、当センターではほとんどの患者さんに適応しています。

従来は15~20cm程度の傷で行っていた手術も技術の進歩により8~10cm程度で行えるようになりました。
また、皮膚につく傷の大きさだけでなく、筋肉と筋肉の間から股関節内へ進入し股関節周囲の筋肉・腱・靱帯を切る範囲も最小限にとどめます。人工股関節置換術は大きく分けて前方進入と後方進入に分かれますが、当センターでは筋肉を傷めずに筋肉と筋肉の間から進入する前方アプローチ手術を行っております。

これらにより手術後の回復が早まり早期のリハビリテーション、社会復帰が可能となっています。過去においては手術から退院までの期間が長く、手術を躊躇する方が少なくありませんでしたが、人工股関節置換術 MIS ではほとんどの患者さんが、約1~2週間の入院で階段昇降、退院が可能となっています。
また、従来は術後の日常生活への制限も多くありました。足を組めない、しゃがめない、などでした。しかしながら、筋間進入の前方アプローチのMISによってこれらの制限もほとんどなくなっております。極端に脚を捻る動作は控えていただいておりますが、それ以外は基本的に制限なく、軽いスポーツを楽しんでいる方もいらっしゃいます。

なお、人工股関節置換術 MIS は主に初回手術で行うもので、2回目以降の再置換術や骨折治療後の人工股関節置換術への適用には限りがあると考えていますが、可能な限り低侵襲になるよう心がけております。

当センターでは、これからも侵襲の小さな、身体に優しい安全な治療を提供していけるように努めて参ります。股関節の痛みでお困りの方はいつでもご相談ください。

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