足の診断・治療センターからのお知らせ
2023年03月07日 足の診断・治療センターの診療を終了いたします
2023年3月末日に足の専門医である関 広幸医師が退職となります。
これに伴い「足の診断・治療センター」は2023年3月末に診療終了となるため、患者さんの受け入れを停止しております。
「足の診断・治療センター」もしくは「関広幸医師」宛てのご紹介状をお持ちの方は、誠に恐れ入りますが、紹介元の医療機関の先生にご相談いただけますよう、お願い申し上げます。
当センターでの治療を検討されていた皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を頂けますよう、お願い申し上げます。
当科の特徴
“足の外科”とは“足首からつま先まで”すなわち“長靴に入る部分”を対象とする整形外科のひとつの専門分野です。
当院の“足の外科”では外反母趾や変形性足関節症を中心に、足・足関節のスポーツ障害、捻挫後の疼痛遺残、距骨(きょこつ)骨軟骨障害、変形性足関節症、扁平足、関節リウマチによる足部変形など多くの疾患に対応しています。
“足の親指が内側を向いていてその付け根や足の裏が痛い”、“足首を挫いた後になかなか痛みが取れない”、“何も怪我とかしていないのに足首が痛くて腫れがとれない”、“足が痛いと思っていたら最近扁平足になってきたような気がする”という方に対しての、専門的な治療を行っています。
また糖尿病性等の足の病変に対しては、下肢救済・フットケアセンターと連携して治療を行っています。
▲ 足の診断・治療センター/整形外科 医員 関 広幸
下肢救済・フットケアセンター 関 広幸 Seki Hiroyuki 足首から足の指先までの診断と治療を行う“足の外科”を専門としております。“足の外科”で扱う疾患は、外反母趾・変形性足関節症・扁平足・関節リウマチなどの病気に加え、捻挫後の遺残性疼痛・スポーツ障害・骨折・糖尿病による足変形など、多岐に渡ります。十分な診察と検査によって正確な診断をし、それぞれの患者さんに応じた適切な治療を提供したいと思っております。“足”でお悩みの方、当院地域連携室にご相談ください。医師紹介
2007年
慶應義塾大学 医学部医学科 卒業
2007年
神奈川厚生連伊勢原協同病院 初期臨床研修医
2009年
慶應義塾大学医学部整形外科学教室(専修医)
2009年
国立病院機構栃木病院 整形外科 医員
2011年
至誠会第二病院 整形外科 医員
2012年
さいたま市立病院 整形外科 医員
2013年
日野市立病院 整形外科 医員
2014年
慶應義塾大学病院 整形外科 助教
2015年
国際医療福祉大学三田病院 整形外科 医員
2017年
国際医療福祉大学医学部整形外科学 助教
2020年
国際医療福祉大学三田病院 整形外科 病院講師
メッセージMessage
- 当センターで扱っている疾患
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1. 加齢や外傷に伴う疾患
外反母趾・変形性足関節症・偏平足(後脛骨筋腱不全症)・強剛母趾・内反小趾・関節リウマチによる足部変形・足部外傷後変形治癒など2. 足・足関節のスポーツ障害
慢性足関節外側靭帯損傷・距骨骨軟骨障害・足関節インピンジメント症候群(三角骨障害など)・アキレス腱症(アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎、アキレス腱付着部症)・腓骨筋腱脱臼・リスフラン靭帯損傷・疲労骨折(Jones骨折、舟状骨疲労骨折)・ダンサー足など3. 骨折や捻挫などの外傷疾患
足関節脱臼骨折・アキレス腱断裂・踵骨骨折・リスフラン関節脱臼骨折・距骨骨折など4. その他の幼少期からの疾患など
足根骨癒合症・有痛性外脛骨・足根管症候群・骨端症(Freiberg病、Köhler病)など
以下、当院で行っている代表的な治療をご説明します。
外反母趾の治療
外反母趾では、親指の付け根の内側に出っ張った部分の痛みを訴えられる方が多いのですが、親指以外の指にも変形があるとそれらの指が靴にあたる部分や、足裏にできたタコの部分に強い圧がかかり痛みが出ることもあり症状は様々です。治療としてはまず運動療法や装具(中敷き・靴型装具)などにより集中した圧を分散させ痛みの緩和を試みます。
それでも痛みが取れない場合には手術が必要となりますが、一般的には矯正骨切り術(人工的に骨折を起こして骨の向きを変える手術)が行われています。矯正骨切りの方法としては様々な方法がありますが、当院では、小さい皮膚切開で手術が可能なDLMO法(デルモ法)や、術後早期からのリハビリが可能となるScarf法(スカーフ法)を主に行っております。手術の方法は、変形の程度や患者さんの生活などを考慮して、患者さんと相談して決めています。変形がほかの指にもおよんでいる場合は、それらの指の治療も行います。
▲DLMO法 術前(左)/ 術直後(中央)/ 術後半年(右)
▲術前(左)/術後1年(右)
入院期間は、1~2週間程度になります。手術をした足の前のほうに負荷がかからないような特別な靴を履いて退院になります。特別な靴は術後4~6週間程度使用します。DLMO法ではワイヤーが指の先から出ていますので、術後4週でワイヤーを外来で抜きます。術後8週程度から通常歩行を許可しています。
変形性足関節症

変形性足関節症は、足首の骨折後に関節軟骨が損傷を受けたために後遺症として生じる場合があります。しかし、なかには脛骨(けいこつ:すねのほね)の関節面が足首の部分で内側に傾いている方がいらっしゃいます。このような場合、関節内での骨同士の接触に偏りが生じ長い年月をかけ徐々に関節表面の軟骨がすり減って、あるとき急に痛みがでることがあります。
変形性足関節症に対しては関節軟骨の損傷の程度が軽い場合には関節の傾きを調整して骨同士の接触の偏りを矯正する“低位脛骨骨切り術”を、関節の破壊が著しい場合には、“人工足関節置換術”もしくは“関節固定術”を行っております。年齢、変形の重症度やタイプ、患者さんの他の病気や生活などを考慮して、もっとも効果が高く、かつ合併症の少ない手術法を選択しています。
▲低位脛骨骨切り術(左)/人工足関節(中央)/ 関節固定術(左)
入院期間は、1〜2ヵ月程度になります。松葉杖歩行が上手なら、2週間程度での退院が可能です。手術法によって異なりますが、多くの場合、術後1ヵ月ぐらいから特別な靴を使用して体重をかけて歩く訓練を開始します。特別な靴は、術後3ヵ月程度使用します。
足首の捻挫の痛み・距骨骨軟骨障害
足首の捻挫後になかなか痛みが取れない方がいらっしゃいます。一口に捻挫といっても、足首を捻ったことによりその周辺に様々な障害が引き起こされます。
捻挫により一番損傷を受けやすいのは足首の外側の靭帯です。靭帯はそもそも関節において向かい合った骨同士がグラグラしないように安定させるバンドのようなものですが、軽微な損傷である場合には多くはそのまま治癒すると考えられます。しかし、損傷がひどく靭帯が完全に断裂してしまっている場合、放置していると靭帯が断裂したままの状態となり関節の不安定性(向かい合った骨同士がお互いにグラグラしている状態)を引き起こします。これがいわゆる“捻挫が癖になった”状態です。
また、捻挫後に痛みが取れない別な原因として、捻挫の時に足首の関節を構成する骨同士が衝突した結果、“骨のうちみ”を生じていることがあります。これは距骨骨軟骨障害(離断性骨軟骨炎)と言われるものですが、これは一般的なレントゲン撮影では見えにくいため、MRIやCTなど特殊な撮影法により確認する必要があります。
▲距骨骨軟骨障害のMRI画像(左)/内視鏡所見:関節鏡で軟骨が剥がれているのが見える(右)
足首の不安定性がある場合には、まずは機能訓練と筋力訓練からなるリハビリテーションを行います。このリハビリテーションでは捻挫して足が傾いたとき、その傾きをいち早く感知して元に戻そうと指令を出す神経を敏感にすることと、実際にその傾きを戻そうと働く筋肉を鍛えることを目的としています。
それでも症状が改善しない場合には靭帯再建術を行っています。
距骨骨軟骨障害に対しては、関節鏡を使用した内視鏡手術で出来るだけ侵襲の低い手術で対応していますが、病変が大きかったり骨欠損を生じたりしている場合には骨の移植が必要となることもあります。
偏平足
中年期以降に生じる扁平足は足のアーチを上方に引っ張るように頑張っている筋(後脛骨筋腱)が年齢とともに傷んできて生じることがほとんどです。この筋が傷んでくると内くるぶしの後ろ側に痛みと腫れが出てきます。外観上は足の先端部分は外側を向き、後ろから見ると踵が“ハの字”に傾いた扁平足になり、親指に外反母趾のような変形を伴うこともあります。治療としてはやはり装具(中敷き・靴型装具)でこれらの傾きを矯正する治療から始めますが、症状が改善しない場合には手術が必要となります。
関節リウマチ
関節リウマチの患者さんでも足に外反母趾のような変形をきたしたり、変形性関節症(関節の表面の軟骨がすり減った状態)を生じたりすることがあります。初期治療としては他の疾患と同様にまずは装具療法を試みますが、それでも痛みが取れない方には積極的に手術を行っております。
リウマチの患者さんでは、同年齢の方に比べて骨が脆かったり、関節の破壊が進んでいたりする方が多いこともありますが、個々の状態に合わせて適切な手術法を選択すれば有効に痛みを軽減させることが期待できます。